まつり堂模型店はなぜ夜市に夜店を出すのか
2025/06/21
まつり堂模型店はなぜ夜市に夜店を出すのか
下関にはかつて、夏の風物詩とも言える夜市がありました。
その名も「唄と踊りとみんなの夜市」。
今から50年以上も前、旧下関体育館前の広場には多くの屋台と人があふれ、子どもたちの歓声と盆踊りの音が、夜空に響いていました。
店長自身も、幼い頃にその夜市に連れて行ってもらい、夜店のひとつでプラモデルを買ってもらった記憶があります。
色とりどりの箱が並んだ棚の前で、どれにしようか悩みに悩んで――
ようやく選んだひと箱を、提灯の明かりの下で両手に抱えて歩いた帰り道。
胸の奥に灯った小さな興奮と、今すぐ作りたくてたまらない衝動。
あの夜が、人生で最高の「模型との出会い」だったかもしれません。
そして今、立場は変わりました。
夜市でプラモデルを買う側だった子どもが、夜市でプラモデルを売る側になりました。
正直、そんな未来を想像したことはありませんでした。
でも、だからこそ思うのです。
あのときの自分のように、ひとつの箱を選んで、家に持ち帰るまでの時間が、ずっと記憶に残る子がいるかもしれない。
「夏の夜に買ったあのプラモデルがきっかけで、ものづくりが好きになった」――
そんな記憶の種を、そっと手渡せるような、そんな店でありたい。
まつり堂模型店が夜市に出店するのは、単に商売のためではありません。
模型の楽しさと出会いの場を、祭りの高揚と一緒に届けたいからです。
「また来たい」「また作りたい」「また選びたい」――
そんな気持ちを、次の世代へ。
今月もまつり堂は、唐戸桟橋通商店街の夜市で皆さまをお待ちしています。