まつり堂模型店

移り気なガンプラの市場ニーズと“腰を据えて楽しむ模型”

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移り気なガンプラの市場ニーズと“腰を据えて楽しむ模型”

移り気なガンプラの市場ニーズと“腰を据えて楽しむ模型”

2025/08/23

移り気なガンプラの市場ニーズと“腰を据えて楽しむ模型”

店頭には、今年5月31日に発売され、このたび再販された HG赤いガンダム がほとんど売れずに並んでいます。まだ新発売から3か月も経っていないのに、すでにお客様の関心は次の新作へ移っているようです。

発売直後には大きな話題となり、店頭にも熱心なお客様が足を運んでくださいましたが、時間が経つにつれ「もう古い商品」と見なされてしまう。この移り気な市場ニーズは、現代のガンプラ市場を象徴していると言えるでしょう。

近年のガンプラは、発売日や再販日に特殊な購買層が殺到し、一瞬にして棚から姿を消すのが日常でした。欲しい人の手に渡らないまま、発売日に買えなかったというだけで入手困難になる。そんな「新作は発売日に買えなければ意味がない」という空気はいまもなお続いており、決して正常な市場とは言えません。

一方で、最近では店頭にいろいろな種類の比較的最近新発売されたガンプラが売れ残り、AFVや艦船模型、カーモデルのように“定番商品”として棚に並び続ける風景も見られるようになってきました。

AFVの戦車は発売から何年経っても作られ続け、艦船模型は数十年前の製品が今も現役です。カーモデルもまた、発売時期に左右されず、憧れや愛着を持って手に取られます。ガンプラがこうした「腰を据えて楽しむ模型」の仲間入りをすることは、業界全体にとって望ましい正常化の流れだと私は考えています。

だからこそ、赤いガンダムが発売から3か月を過ぎても店頭に残っていることを、単なる「売れ残り」とは見ていません。むしろ「好きなときに、好きなガンプラを選んで組める」という健全な状況の表れであり、模型の楽しみを本来の姿に近づける一歩だと感じています。ガンプラ一個一個が「今すぐ組んでSNSに上げるためだけの商品」になってほしくはないのです。

しかし、現実にはまだ両極端が同居しています。新作は相変わらず発売日に瞬殺され、「発売日に買えなければ意味がない」という消費のスピード感に支配される。一方で、ようやく定番商品として棚に残り続けるキットも出てきている。この現実と理想の狭間で、私は日々悩み、そして願っています。

「新作の熱狂」も「定番の安心感」も、どちらも模型文化に必要なものです。しかし本当に望むのは、時代に流されることなく、誰もが自分のタイミングで「次はこれを作ろう」と選べる市場です。その理想に少しでも近づけるように、まつり堂模型店は今日も棚を整えています。

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