模型体験が育む思考力と手先の力 ― 親の態度が左右するもの
2025/08/28
模型体験が育む思考力と手先の力 ― 親の態度が左右するもの
子供にとって、模型作りは単なる遊びではありません。頭で考え、手を動かし、最後まで仕上げる過程は、論理的な思考力や手先の器用さを育てる貴重な体験です。パーツの構造を理解しながら組み立てることは「物事をどう解決するか」を考える訓練になり、塗装や仕上げでは集中力や表現力も磨かれます。こうした経験は、将来の学びや仕事においても必ず役立つ「生きた力」になるのです。
しかし、この成長の芽を摘んでしまうことがあるのも現実です。たとえば親御さんが「散らかるからダメ」「難しそうだから無理」と否定的に言ってしまうと、子供は「やってはいけないこと」と思い込み、せっかくの好奇心が閉ざされてしまいます。昆虫を観察したい子供に対し、親が「気持ち悪い」と拒絶することで、その探究心が失われるのと同じ構図です。
一方で、親が「面白そうだね」「一緒にやってみよう」と寄り添えば、子供は安心して挑戦できます。親が楽しそうに模型を手に取る姿は子供にとって最大の励ましであり、「自分もやってみたい」という意欲を自然に引き出すのです。完成したときに「できたね」「工夫したね」と声をかければ、自信と達成感が芽生え、次の挑戦へとつながります。
まつり堂模型店では、こうした「親子で楽しめる模型体験」を大切にしています。初めての方でも扱いやすいキットや水性塗料をご案内し、完成見本を見ながら「どれを作ろうか」と会話を広げることで、親子が同じ目線で楽しめる環境を整えています。
では、もし親御さん自身が模型に触れた経験がなく、「どう関わればいいかわからない」と感じる場合はどうすればよいでしょうか。
実は、親に特別な技術は必要ありません。大切なのは「一緒に楽しむ気持ち」です。横で見守ったり「ここまでできたね」と声をかけたりするだけでも、子供にとっては大きな励ましになります。最近は接着剤や塗装が不要の入門キットも多く、親子で「まずは説明書を見てみよう」と声をかけ合うだけでも立派な模型体験です。
また、親が知識を持っていなくても心配いりません。お店で質問していただければ、最適なキットや道具をご提案しますし、展示品を一緒に眺めながら「こんな風に仕上がるんだ」と共有することも、子供の好奇心を刺激します。
親は“先生”である必要はなく、子供と一緒に学ぶ“仲間”になれば良いのです。
模型は、完成品を得るだけの活動ではありません。親がその価値を理解し、挑戦の機会を与えることで、子供は思考力や技能、そして未来への好奇心を育てることができます。親の一言がその芽を伸ばすこともあれば、閉ざしてしまうこともある。だからこそ、親子で一緒に模型を楽しむ時間を大切にしていただきたいと思います。