「遺品のプラモデル」と向き合う——ご相談を受けて考えたこと
2025/09/04
「遺品のプラモデル」と向き合う——ご相談を受けて考えたこと
先日、ひとりのご婦人がご来店になりました。
「夫が亡くなりまして、家にプラモデルが大量に残っているのですが、引き取ってもらえませんか」
とのご相談です。
まつり堂模型店は基本的に“買取は行っていない”のですが、たいへんお困りのご様子。事情をうかがうと、写真もリストも無く、ご婦人も何がどれだけあるのか把握されていないとのこと。内容が分からない以上、当店としてはパッケージ記載価格の1~2割程度であれば引取対応が可能ですとお話ししましたが、高額での処分をご希望しておられたようで、お見積りにご不満のご様子でした。
物が何かわからない以上、見積りのしようがありませんので、今回は専門のリユース店として新下関のホビーオフさんをご紹介。ご婦人は帰られました。
店長が思ったこと(正直な気持ち)
・終活は大切。
・でも、人はいつ旅立つか分からない。だからこそ難しい。
・元気なうちに、引き取り先と相談・合意をとっておくのが理想。
・売却処分の場合は概算で良いから、いくらくらいの金額の価値があるのかを遺族に残しておく。
・すべて処分で構わないなら、「死後は廃棄」方針を家族に明言し、廃棄業者手配まで具体的に。
それでもなお、「他に良い策はないか」と考え続けています。
そして、これは店長のホンネですが——
奥さまご本人が何が残されているのか理解されていない状態で、それを高額で売却するのはどうしても難しいのです。
遺品リストがあれば理想的ですが、最低限でも「全体の写真」を持ってきていただかないと相談に乗りようがありません。
こうした準備は、やはり残す側=生きているうちの責任だと思います。自分の趣味のコレクションだからこそ、最後まで面倒を見てあげる覚悟が必要だと痛感しました。
ネットで見かける“遺品のホビー”の実例
・ホビー専門リユース店に託す。
ホビーオフなどではプラモデルや鉄道模型の買取に対応し、大量でも出張査定が可能です。
未組立プラモデルが高額査定になったケースなど、実例が多数報告されています。
・生前に価値を把握。
まんだらけの「生前見積」では、写真やリストを送るだけで査定書を作成してもらえ、家族への引き継ぎに便利です。
・遺品買取を明示する専門店も。
遺品整理を前提にホビーの査定を行う業者も存在します。
・付属品や箱の状態が大切。
箱や説明書の有無で査定額が変わることが多く、保管段階から意識しておくと良いです。
店長が考える「理想的な対策」
1. 生前にやっておくこと
ざっくりでもいいので「持っている模型のリスト」を作っておく。
写真を撮ってフォルダにまとめる(箱正面、横、開封済みなら中身)。
専門店の「生前見積」などを利用して、おおよその価値を知っておく。
2. 引き渡し先を決めておく
第1候補:ホビー専門リユース店(ホビーオフやまんだらけなど)。
第2候補:種類ごとに分けて売却(鉄道模型はA店、ガンプラはB店など)。
第3候補:クラブや学校に寄贈。
最終候補:廃棄業者に依頼(その意思を家族に伝えておく)。
3. 家族への伝え方
「もし自分に何かあったら、この順番で相談してほしい」と書いたメモを残す。
連絡先(お店や業者の電話番号)も一緒に書いておく。
4. 実際の手順(もしもの時)
・まずは全体を写真に撮る。
・同じ種類ごとにまとめておく。
・査定は1社だけでなく、できれば複数に声をかける。
5. 注意点
・「定価の何割」という考え方は通用しないことが多い。
・「古いものだから価値が高い」とは限らない
・完成品や箱の傷み、欠品は基本的に大幅減額。
大切なのは、「遺されたご家族が、迷わず・悔いなく・安全に片付けられること」。
そしてそのためには、残す人の責任として準備をしておくことが欠かせません。
店長として、この思いをこれからも発信していきたいと思います。