まつり堂模型店

観光と模型店 ─ 下関の街と共に歩むまつり堂模型店の未来

お問い合わせはこちら

観光と模型店 ─ 下関の街と共に歩むまつり堂模型店の未来

観光と模型店 ─ 下関の街と共に歩むまつり堂模型店の未来

2025/09/09

観光と模型店 ─ 下関の街と共に歩むまつり堂模型店の未来

まつり堂模型店がある下関は、歴史と文化と観光が交差する街とよく表現されます。店から車で2分足らずの唐戸市場の活気、唐戸市場の面する関門海峡を望む絶景、そして唐戸界隈に点在するの旧英国領事館や水族館といった観光スポット。9月・10月は祝日が二日ずつあり、全国的にも行楽シーズンのピークを迎えます。その流れに合わせて、すでに、街を歩く観光客の姿も増えていることを感じます。まつり堂模型店にも「ネットで検索すると(唐戸市場の)近くに模型店があることが分かったので、ちょっと寄ってみた」とおっしゃりながら、お客様がふらりと入ってこられることがあります。

そして今年(2025年)12月には、待望の大型滞在型ホテル「星野リゾート リゾナーレ下関」が開業予定です。星野リゾートまでお店から車で5分、水族館や唐戸市場をコースに組み込めば、歩いての来店も苦にならない距離に大型宿泊施設ができることはとてもワクワクします。宿泊型の観光客が増えることで、滞在中の過ごし方に「地元ならではの体験を探す」という新しい需要が生まれるはずで、まつり堂模型店としても大きな期待を寄せています。

現状を振り返ると、観光客の多くはやはり市場や飲食を目的に来られる方が中心で、模型店に足を運ぶのはほんの一握りの方です。それでも「旅行先では模型や巡りを楽しみにしている」とおっしゃる方、あるいは「旅行の思い出に珍しいプラモデルを買って帰る」という方や、「地元にはない美少女プラモデルに驚いた」という声をいただくこともあり、確実に“観光の寄り道”としての手ごたえを感じています。また、まつり堂模型店の立地は下関市の観光拠点である唐戸にあるという強みがあり、観光導線の中に自然に組み込まれやすいのも追い風です。

今後の展望として、リゾナーレ下関の宿泊客が下関の街を散策し、食や景色だけでなく文化的な体験を求める動きが加速することは間違いありません。星野リゾートの利用客は、ただ“物を買う”のではなく、“物語や体験を持ち帰る”ことを好む傾向が強いといわれています。その点で、当店の「モデラーメイドによる接客」や「完成見本や実演展示」は、観光客にとっても大変ユニークな体験になり得ます。模型の世界を知らなかった方にとって、店内で動く手元を見たり、作品を間近に観察したりすること自体が、新しい観光体験になるはずです。

しかし、まつり堂模型店には悩みもあります。それは「時間に余裕のある滞在型観光客が喜ぶであろう、ワークショップや体験型販売を提供しづらい」という点です。理由は単純で、当店は販売に特化した小規模な店舗構造であり、体験スペースを設ける余裕がありません。もし広い机と椅子を置けるなら「1時間で完成できるプラモデル体験」や「ドール小物のカスタマイズ講座」といった企画も可能でしょう。しかし現実的には、それを常設する場所はありません。これは小規模個人店ならではの制約であり、観光需要をダイレクトに取り込めないことへの歯がゆさでもあります。

それでも、まつり堂模型店は諦めてはいません。体験スペースが作れなくても、工夫次第で観光客に楽しんでいただける方法はあるはずです。下関に関係する模型は実はいろいろとあります。例えば港の町下関にゆかりのある艦船の模型や、山口県出身のアニメ監督庵野秀明さんのシン・エヴァンゲリオンの登場メカのキット、同じく庵野監督の作品に登場するクモハ123・105系などの鉄道車両などなど。このような、地域ゆかりの模型やキットを観光客向けに提案し、自宅やホテルで体験できるようパッケージ化すること。

あるいは「関門海峡やふく(河豚)をモチーフにした作品展示」(フグ模様のズゴックとか?笑)を常設し、模型を通じて下関の文化を伝えること。短時間で説明できる「塗料や工具の実演ショー」も、一種の観光体験として成立します。店舗が限られた空間だからこそ、展示や販売の工夫で“体験を疑似的に提供する”ことができるのではないでしょうか。

観光と模型は、意外にも相性が良いと感じます。旅先で心に残るのは、必ずしも派手な観光名所だけではなく、「思いがけず出会った小さな体験」であることも多いのです。下関観光の合間に立ち寄った模型店で、メイド姿のスタッフにプラモデルを解説してもらったり、珍しい完成品に感動したり──そうしたエピソードは、きっと旅行の記憶に深く刻まれるはずです。

下関市立水族館海響館の大規模改修の完了(8月)や、リゾートホテルのオープン(12月)で、これからの下関は観光都市として新たなステージを迎えます。その流れの中で、まつり堂模型店もまた、自らの個性を活かしながら観光と共存し、街全体の魅力を高めていく存在でありたい。課題はあっても工夫を重ね、模型を通じて旅人の心を動かす──その未来に、店長おびおは大きな希望を見ています。

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。