プラモデルの箱はなぜデカい?
2026/03/07
まるでテトリスな商品棚
最近、プラモデルの箱がずいぶん大きくなったと感じている方は多いのではないでしょうか。長年プラモデルを趣味にしていると、その変化はかなりはっきり分かります。ひと昔前なら棚にきれいに収まっていたサイズのキットが、いまでは「おぉ!? デカッ!」と思うような箱に入っていることが珍しくありません。一昔前のタミヤの自動車キットと、最近発売されたアオシマの 180SXの箱を比べると、3倍くらいあるのではないかと思います。
もちろん、大きな箱には大きな箱なりの魅力があります。
何より、買ったときの満足感が違うという声をよく聞きます。箱を手に取った瞬間の「これは作りごたえがありそうだ」というワクワク感。模型という趣味は、箱絵を眺める時間も含めて楽しみの一つですから、存在感のあるパッケージはそれだけで価値があります。箱を面たてにしてコレクションのように並べている方もいらっしゃいます。
ところが面白いことに、箱が大きいことが別の悩みになる場合もあります。
まつり堂模型店にご来店いただいたお客さまと話していると、「家に持って帰るとき、ちょっと家族の視線が気になるんですよね」という話をよく聞きます。大きな箱を抱えて帰ると、「また買ったの?」「その大きさ、高かったんじゃない?」と聞かれてしまう。実際の値段がそれほどでもなくても、箱が大きいと何だか高価なものに見えてしまう。模型好きの方なら、少し心当たりがある話かもしれませんね。
一方で、店の側から見ると、箱の大型化はなかなか悩ましい問題でもあります。大きくて派手な箱は店頭でよく目立ちます。お客さまの視界に入りやすく、つい手に取ってもらいやすい。これは販売する側としてはありがたいことです。ところがその反面、大きな箱は棚のスペースをしっかり占有します。特にまつり堂模型店のような個人店では、棚の広さには限りがあります。立派な箱が一つ入ると、その分だけ他の商品を置く場所が減ってしまうのです。
まつり堂模型店は、なるべく多くの種類を並べて「こんなキットもあるのか」と発見してもらう楽しさがある場所でもありたいと思っています。もし箱が半分のサイズだったら、同じ棚に倍の種類を並べることができます。そう思うことも正直あります。しかし現実には、箱が大きい方が売り場での存在感は強く、結果として手に取られやすいという側面もあるのです。
では、なぜメーカーは箱を大きくするのでしょうか。
これはあくまでも店長おびおの想像ですが、最近のキットはオプションパーツがとても充実しています。別仕様を再現するためのパーツや、武装のバリエーション、ディテールアップの部品など、「せっかくなら全部入れておこう」というサービス精神が強くなっています。ユーザーとしては、パーツが多い方が嬉しい。メーカーとしても、満足度を高めるためにできるだけ盛り込みたいと思っているのではないでしょうか。そうなると、どうしても箱は大きくなります。
店長おびおはは、いろいろな解決策を考えたこともあります。
例えば箱をもっとコンパクトにして、ランナーをうまく折り重ねる方法はどうか。あるいは箱絵はポスターとして同梱して、箱自体は小さくできないか。店頭には展示用の大きな箱を置いて、販売は中身だけの小さな箱にするという方法も考えました。
しかし、どれも考えていくと問題が出てきます。ランナーを詰め込みすぎると破損のリスクがありますし、ポスター方式では店頭で箱絵が見えません。展示箱と販売箱を分けるのは物流が複雑になります。考えれば考えるほど、「それなら今の箱の形が一番合理的なのではないか」という結論に近づいていきます。
つまり、現在のプラモデルの箱のサイズというのは、輸送の安全性、店頭での視認性、パーツ量、コスト、そしてユーザーの満足感など、いろいろな要素を勘案した結果として落ち着いた形なのだろうと思います。
それでもなお、店の棚を見上げながら「もう少しだけ小さかったらなあ」と思う瞬間があるのも事実です。どうやらプラモデルの箱のサイズという問題は、メーカーにとっても、店にとっても、そしてきっと模型ファンにとっても、なかなか悩ましいテーマのようです。
結局のところ、このサイズの箱というのは、いろいろな事情の中で見つかった現時点での落ち着き先なのでしょう。そう思いながら、今日も店長おびおは、テトリスをプレイしている気分で大きな箱を棚に並べています。