2025年9月30日 ─ 第二四半期最後の日に寄せて
2025/09/30
2025年9月30日 ─ 第二四半期最後の日に寄せて
今日は2025年9月30日。
四半期でいえば、第二四半期の最後の日です。おびおが前に勤めていた会社は四半期ごとに定年退職者を送り出す会社でした。もし、早期退職をせずに会社に残っていたら、今日が私の勤務最終日でした。社長と昼食を共にし、豪華な記念品を受け取り、上司や部下に見送られて、華やかな定年退職のセレモニーを過ごしていたかもしれません。
今、これを書いている午前10時過ぎ、会社を辞めなかった世界線のおびおは、のんびりと10時ごろに出勤をして、すでに身辺整理も済んで何もなくなった自分のデスクに座り、窓の外に見える東京タワーを眺めて「この景色も今日で最後か、東京生活も悪くはなかったな」とか心の中で思いながら、仕事の手を止めて話しかけてくれる部下と軽く雑談しながら、コーヒーをすすっていたことでしょう。
けれども、私は去年の春に早期退職を選び、そこから休む間もなくバタバタと開店準備を始めて、同じ年の12月22日に「まつり堂模型店」を開きました。その後は休む間もなく店の経営と営業にまい進する日々です。今日は定休日ですが、個人事業主は休んでなんていられません。ですが、会社を辞めて模型店を始めたことについては、今でも全く後悔はありません。むしろ、あの時の選択は良いものだったと心から思っています。
とはいえ、新卒から勤め上げた会社でしたから、やはり感慨深いものがあります。30数年サラリーマンとして歩んできて、「結局、自分の人生って何だったんだろう」と、ふと立ち止まってしまう瞬間もあるのです。もっと早くに敷かれたレールから降りていたらどうなっていただろうか、少し退職が遅すぎたのではないか──そんな思いも、正直にいえばあります。
ただ、会社で学んだ経理や法律、営業や広報の知識は、今の店の経営にしっかりと活かされています。あの時間は決して無駄ではなく、今ここに至るための大切な土台でした。
今、サラリーマンとして働いている人に、本人の意思に逆らって早期退職や独立を勧める気はありません。サラリーマンには安定という確かな良さがあります。けれども、一歩踏み出してみれば、想像ほどイバラの道ではないというのも、また正直な感想です。
私は退職が遅かった分、残された時間はそう多くありません。だからこそ「やりたいことはすぐやる、全部やる」という精神で、この日々を生きています。たとえ会社に残っていたとしても、明日からはどうせレールのない人生に突入です。もう振り返ることはしません。ただ前を向いて、模型と、そしてこの店を愛してくださるお客様と共に、時間を挽回するように歩んでいきたいと思います。