まつり堂模型店

文化の日に模型文化について考える

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文化の日に模型文化について考える

文化の日に模型文化について考える

2025/11/03

文化の日に模型文化について考える

11月3日「文化の日」。三連休のせいかお客様の途絶えることのない店内で、ふと“模型文化”という言葉を思い浮かべました。模型は、単なるお金儲けのための商品ではない――私はそう感じています。

私の模型人生の原点は、保育園のころにさかのぼります。はっきり覚えてはいませんが、「マッハGOGOGO」のマッハ号のプラモデルを組み立てたのが最初だった気がします。上下のボディを貼り合わせて、タイヤをはめ込むだけのごく簡単なキット。それでも、自分の手で車の形ができあがる瞬間に胸が高鳴ったのを覚えています。接着剤のにおいと、指先に残ったプラスチックの感触――それが、私の“模型の記憶”の最初のページです。

それからというもの、自動車、戦車、ウォーターラインシリーズ、鉄道模型、そしてガンプラや美少女プラモデルへと興味の対象は広がっていきました。気がつけば、人生の大半を模型と共に過ごしてきたことになります。まさかその延長線上に「模型店の店長」という肩書が待っているとは、当時の自分には想像もできませんでした。

「文化」を広辞苑で引くと・・・
人間が自然に手を加えて生活を向上させてきた物心両面の活動と、その成果。
特に、学問・芸術・道徳・宗教など、精神的な生活の所産をさすことが多い。
と書かれています。

「文化の日」の“文化”とは、辞書に書かれている通り、人の手と知恵で積み重ねられた営みのこと。そう考えると、模型づくりこそ文化そのものです。設計者が寸分の狂いもなく形を追求し、塗料メーカーが理想の発色を探り、そしてモデラーがその道具を手に世界を生み出す。この連鎖が、まさに“ものづくり文化”の縮図だと思うのです。

日本の模型文化は、今や世界のトップクラスにあります。精密な成形技術、独特のデザイン感覚、そして何より「手仕事を楽しむ心」。それらが融合し、ガンプラやミリタリー、ドール、鉄道模型など、多様なジャンルを生み出しました。これもまた、日本が誇る文化の一部です。

まつり堂模型店を開いたとき、私は「この文化を受け継ぐ場所を作りたい」と思いました。お客様がただ買い物をするだけでなく、作る喜びを共有できる空間――それが理想です。だから、うちの店ではメイド姿のモデラーが実演を行い、知識や技をお客様と分かち合っています。模型は“個人の表現”でありながら、“人と人をつなぐ文化”でもあるのです。

最近は、親子で来店される方も増えました。かつてプラモデルを作っていたお父さんが、お子さんと一緒に新しいキットを選ぶ姿を見ると、「文化が確かに受け継がれている」と感じます。

3Dプリンターやデジタル塗装といった新しい技術が次々に登場していますが、どんなに時代が変わっても“手を動かして形を作る楽しさ”は変わりません。模型文化の本質はそこにあります。 文化の日にあらためて思うのです。 この小さなプラスチックの世界には、人間の創造力と情熱が詰まっている。 そして、その文化を未来へつなぐのが、私たち模型店の役目なのだと。

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