プラモデルを作れなくなった日
2026/02/11
手根管症候群と向き合って
以前から、アオシマのキット、『ディーゼル機関車 DD51』の製作が途中で止まっています。
理由を聞かれることもありましたが、メイドねろこさん以外には誰にも言っていませんでした。
店長おびおは、模型をやりすぎて手根管(しゅこんかん)症候群になりました。
症状は、右手の親指・人差し指・中指のしびれ。
それだけならまだしも、指の平(ひら)の感覚が無くなりました。
プラモデルのパーツをつかんでいるはずなのに、「つかんでいる感覚がまったくない」。
これは、模型を作る人間にとっては致命的でした。
細かい部品を持っているのか、落としそうなのかがわからない。
ヤスリも、ナイフも、使えない。
結果として、DD51の製作は完全に止まりました。
店から車で 10分程度のところにある、国立関門医療センターで
いくつかの検査を受け、診断は手根管症候群。
手首の中にある「手根管」という狭い空間で神経が圧迫され、指先の感覚が障害される病気です。
軽症なら安静や装具で様子を見ることもありますが、今回は
「回復するには手術しかない」
とはっきり言われました。
先日、右手の手根管症候群に対して、日帰り手術を受けました。
回復には個人差があり、早い人で2~3週間、長い人では2~3か月。
現時点では、感覚が完全に戻るまで、プラモデルを作るのは難しそうです。
正直に言えば、かなりショックでした。
趣味でもあり、仕事でもあり、自分そのものでもある「模型」を、一時的とはいえ失う感覚。
それを言い訳にしたくなくて、黙っていました。
ご心配をおかけした方がいたら、申し訳ありません。
このコラムを書いたのは、同じように模型を作る人に、同じ道を辿ってほしくないからです。
手根管症候群は、模型趣味と相性が良くありません。
長時間の細かい作業、手首を曲げた姿勢、力を入れた保持。
「あと少し」「ここまで作りたい」を積み重ねるうちに、気づかないまま進行します。
予防としてできることは、実はとても地味です。
・長時間作業をしない(1時間に一度は手を止める)→ 毎時 0分には休憩すると決める
・手首を強く曲げた姿勢で作業しない → 適切な高さの作業台で製作する
・力任せにパーツを持たない → 「ピンセットニッパー」などを適切に使う
・しびれや違和感を「気のせい」にしない → 違和感を感じたら整形外科に行く
・夜間や朝方のしびれを軽視しない → 違和感を感じたら整形外科に行く
模型は逃げません。
でも、神経は一度傷むと、戻るまでに時間がかかります。
今は治すことに集中します。
感覚が戻ったら、またゆっくり、模型と向き合います。
その時はきっと、以前よりも「作れる時間のありがたさ」を噛みしめながら。
模型を長く楽しむために、どうかご自身の手も、大切にしてください。
ちなみに、手術費用は 1万8000円 でちょっとおつりが来ました。
— まつり堂模型店
店長 おびお