まつり堂模型店

商品に対する解像度の低さに関する悩み

お問い合わせはこちら

商品に対する解像度の低さに関する悩み

商品に対する解像度の低さに関する悩み

2026/02/21

お客様の商品選びを見ていて思ったこと


最近、店頭に立っていて強く感じることがあります。

それは、お客様の「商品に対する解像度」が、全体的に下がってきているのではないか、ということです。最近こういうお客様が多いのです。

模型製作のためにカリカリに調整された専用品を手に取って説明をしていると、「こんなの百均に売ってる」と言い放つ方がおられます。もちろん、百均の商品を否定するつもりはありません。私も日常生活の中で便利に使っています。ですが、用途も設計思想も違うものを、値段だけで同列に並べてしまうのは、少し寂しい気持ちになります。

また、発売されたばかりの新製品をその日のうちにSNSで紹介すると、実物を触ったはずもないのに「それ持ってる、それだめ。ペン立ての肥やしになってる」と書き込まれることがあります。確かに、似たような形の商品を以前からお持ちなのかもしれません。しかし、素材、剛性、寸法精度、重心設計、滑り止め処理、細かなR処理など、実際に触ってみなければ分からない違いがあるのです。それを確認する前に断じてしまうのは、商品に対する解像度が低い状態と思わざるを得ません。

さらには、540円する高級塗料。「まつり堂で買わなくてよかった、百均に売ってた」と書き込まれることもありました。もちろん、百均の塗料と当店の高額塗料は、発色、隠ぺい力、乗り、使い勝手、ボトル設計、あらゆる点で異なるものです。

私が言う「商品に対する解像度」とは、あまたある模型アイテムの個性を見極める力のことです。値段だけではなく、良いものを良いと判断する力。自分の用途や腕前、製作スタイルに照らして、最適解を探す力。メーカーの設計思想を理解する力。細部の造形を見て、なぜこのような造形になっているのかを考える力です。

景気の低迷が長く続く中で、「安さが正義」という風潮が強くなっているのも事実です。良いものよりも安いもの。とにかく安ければ良い。そうした価値観が広がっています。

本来は、暮らしの中に百均を上手に取り入れる、という形だったはずが、いつの間にか百均を基準に暮らしが構築されている。すべての基準が「100円で代用できるかどうか」になってしまうと、専用品の存在意義が見えにくくなります。

メーカーが新製品を出しても、試さないうちに「あ、それ百均で売ってる」と判断されることがあります。しかし、模型専用品は、単に「物を立てる」「物を置く」ための道具ではありません。塗料ボトルの直径に合わせて0.1mm単位で設計され、転倒しにくい重心位置が考えられ、作業台での動線まで想定されています。その差は、使ってみて初めて体感できるものです。

しかし残念なことに、3000円の商品と100円の商品の違いが、実際に使っても理解できない、という声もあります。それは商品が悪いのではなく、用途とのマッチングができていないのかもしれません。あるいは、まだその道具が本領を発揮する段階に達していないのかもしれません。はばからずに言えば、その人の模型スキルが、3000円の商品をデザインしたメーカーが想定したレベルに達していないだけかもしれません。道具は魔法ではありません。ですが、正しい環境で正しく使えば、確実に作業の質を引き上げます。

まつり堂模型店では、この「解像度」を上げるお手伝いをしたいと思っています。だからこそ、できるだけ多くの商品を実際に触れるようにしています。持ってみる。重さを感じる。ボトルを差してみる。ニッパーを試し切りする。スタンドに実際にエアブラシを置いてみる。良いものもある、悪いものもある。その違いを自分の手で確かめてほしいのです。

そのうえで、ご自身の予算と品質のバランスを考えて選んでいただきたい。高いものを無理に勧めるつもりはありません。安いものが最適な場合もあります。しかし、最初から「安い=正義」と決めつけてしまうと、見えるはずの差が見えなくなります。

模型は、解像度を上げる趣味です。パーツのディテールを読み取り、色味の違いを感じ取り、0.1mmの段差に気づく世界です。だからこそ、道具や商品に対しても、少しだけ解像度を上げてほしいのです。

値段ではなく、価値を見る。
形ではなく、設計を見る。
噂ではなく、自分の手で確かめる。

それができる場所でありたいと、店長として心から思っています。

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。