幻のソ連試作戦車「オブイェークト490B」、まつり堂模型店に現る!
2025/07/11
実車紹介:幻の戦車「オブイェークト490B(Объект 490Б)」とは何だったのか?
ソビエト連邦末期の軍事工業が生んだ、最後の怪物とも言えるのがこのオブイェークト490Bです。
通称「ベルカ(Белка=リス)」。
軽やかな愛称とは裏腹に、その姿は従来の戦車の常識を完全に覆す、異様かつ未来的なデザインをしています。
開発を担当したのは、ウクライナ・ハルキウにあるモロゾフ設計局(KMDB)。この設計局は、T-64、T-80UDなど、数々のソ連戦車の革新を支えてきたエリート集団であり、当時の技術的な集大成として「オブイェークト490」シリーズを構想しました。
「オブイェークト490」は複数の亜種が存在しますが、その中でも最終段階に達していたのが490Bです。
その最大の特徴は、従来の戦車における「砲塔=乗員スペース」という構造を完全に分離したこと。
この車両では、乗員は前方の装甲カプセルに搭乗し、砲塔は無人化されて遠隔操作されます。これは現在のT-14アルマータに直結するコンセプトでもあり、30年以上も先を見据えていたことがうかがえます。
装甲配置も極めてユニークです。
車体前面の装甲は多重複合装甲+空間装甲+爆発反応装甲で構成されており、防御力は当時のNATO戦車をはるかに上回ると見られていました。
また、機関部は車体後方に配置され、砲塔は中央よりやや後ろ、という極端な重心設計。これは被弾時の生存性と火力の持続性を重視したもので、単なる見た目のインパクトではありません。
主砲は125mm滑腔砲。自動装填装置付きで、発射速度も高く設定されていたといわれます。さらに、砲塔の天面にはセンサーやレーザー測距装置、赤外線装置などが集中配置され、情報化戦闘を前提とした先進設計であることが読み取れます。
なお、写真にもある通り、この戦車は木製モックアップではなく、実際に可動試験まで行われた走行可能なプロトタイプでした。
しかし、1990年代初頭のソ連崩壊とともにプロジェクトは中断され、完成型を見ることなく歴史の闇に消えていきます。
ただし、その理念や構造はのちのロシア連邦軍が開発したT-14アルマータに継承されていると多くの専門家が指摘しています。
つまりオブイェークト490Bは、「時代を超えた最先端の発想を秘めた幻の戦車」として、今なおモデラーやミリタリーファンの間で語り継がれる存在なのです。
その異形のフォルムは、今見ても古さをまったく感じさせず、むしろ「これが現代の戦場に出てもおかしくない」とすら思わせる迫力と説得力を備えています。
キット紹介(トランペッター製 1/35スケール)
今回まつり堂模型店に入荷したのは、中国の精密模型メーカートランペッター(Trumpeter)が手がけたスケールモデル。
幻の戦車「Object 490B」の姿を、資料をもとに驚くべき精度で立体化した逸品です。
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スケール:1/35
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成形色:グレー(塗装前提)
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履帯:精密な組み立て式履帯
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パーツ数:約580点
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メーカー:Trumpeter(トランペッター)
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価格:14,300円(税込)
組み立てには多少の技術が求められますが、そのぶん完成時の満足度は非常に高く、各部のシャープなモールドや無人砲塔のメカニカルな造形は、組む手を止めて見入ってしまうほど。
車体下面や転輪まわりも丁寧に再現されており、現代戦車キットの中でも最高クラスの仕上がりと言ってよいでしょう。
モデルとしての魅力
このキットの魅力は、なんといっても「実在したにもかかわらず未完成のまま終わった異形の兵器」を自分の手で組み上げられる点。
実車写真と見比べながら、あの奇妙なラインやセンサー群をひとつひとつ再現するのは、まさに立体資料を組むような感覚です。
さらに、自由度の高い塗装アレンジもポイント。
実在仕様に加え、迷彩パターンの創作や、SF風のディオラマにも応用可能。機能美と妄想が絶妙に交錯する「模型ならではの楽しさ」が詰まっています。
店頭で展示販売中!
この異形の戦車「Object 490B」、まつり堂模型店にて展示販売中です。
現用戦車ファンの方も、ちょっと変わった戦車に惹かれる方も、ぜひこの存在感をご自身の目でお確かめください。
「普通の戦車に飽きた」あなたにこそ、組んでいただきたい1台。
未来の戦場を想像しながら、幻の試作戦車をあなたの手で完成させてみませんか?
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まつり堂模型店
住所 : 山口県下関市幸町1-9 永冨ビルⅡ101
電話番号 :
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