ドールの黄変 ― なぜ起こるのか?どう防ぐのか?
2025/08/16
お気に入りのドールが年月とともに少しずつ黄ばんでいく…。
ドールファンにとって避けて通れない悩みが「黄変」です。
今回はその原因や素材ごとの違い、ブランドごとの傾向、防止策や対応方法までを総合的にまとめます。
黄変の原因
ドールの黄変は、いくつかの要因が重なって進行します。
紫外線(UV)の影響
日光や蛍光灯に含まれる紫外線が樹脂を劣化させ、色を変えていきます。
酸化反応
空気中の酸素と反応し、樹脂が劣化。特にウレタンレジンは酸化に弱く、黄変が早い素材です。
可塑剤の変質
PVC(ソフビ)製ボディは柔らかさを出すために可塑剤を含みますが、これが経年で揮発・変質して黄ばみやベタつきを起こします。
温度・湿度
高温多湿環境は劣化を加速させます。
黄変しやすい素材とブランド傾向
ウレタンレジン(レジンキャスト製)
球体関節人形(BJD)に多く使われ、最も黄変が早い素材です。
Volks(ボークス):スーパードルフィー(SD)
LUTS(ルッツ/韓国)
Dollshe(ドルシェ/韓国)
FairyLand(フェアリーランド/韓国)
Iplehouse(イプルハウス/韓国)
DollZone / Doll Chateau(中国系)
これらはユーザー間でも「黄変するのが宿命」と広く認識されています。
PVC(ソフビ製)
黄変のスピードは緩やかですが、長年経てば避けられません。
Azone(アゾン)
Obitsu(オビツ製作所):オビツボディは柔らかさゆえに可塑剤の影響が出やすい
PARABOX(パラボックス)
ABS樹脂
比較的黄変に強いですが、紫外線下ではやはり変色します。
FigmaなどのABS+PVC混合ドール/フィギュア系
黄変を防ぐためにできること
黄変を「完全に防ぐ」ことはできませんが、進行を遅らせることは可能です。
・直射日光を避ける(窓際に置かない)
・UVカットケースやフィルムを活用
・高温多湿を避け、安定した環境で保管
・長期保存時は不織布やUVカットカバーを使用
黄変してしまったら?
残念ながら、一度進んだ黄変を完全に元に戻すことはできません。
ただし以下のような工夫で目立たなくすることは可能です。
・軽度の黄変:表面を研磨して削り直す
・メイクでリカバー:新しいメイクで黄変を逆に活かす
・ホワイト塗装やパステル補正:上から色を整えて隠す
模型分野で行われる「過酸化水素による漂白」なども存在しますが、ドール素材は繊細なためリスクが高く推奨されません。
黄変は、ドールを愛するすべての人に訪れる課題です。
しかしそれは「時間を重ねた証」として受け止めることもできます。新品の肌色も魅力的ですが、年月を経て少し黄味を帯びた肌に独特の風合いを感じる方も少なくありません。
まつり堂模型店では、黄変後のリペイントやアレンジのご相談も承っております。
大切なドールと長く付き合うために、黄変という現象を正しく理解し、上手に付き合っていきましょう。
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