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なぜ「金剛型四姉妹」と呼ばれるのか?

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なぜ「金剛型四姉妹」と呼ばれるのか?

なぜ「金剛型四姉妹」と呼ばれるのか?

2025/08/16

模型ファンの皆さんにとって、「金剛・比叡・榛名・霧島」の名は耳馴染みのあるものではないでしょうか。

日本海軍初の高速戦艦シリーズ、通称「金剛型四姉妹」。なぜ同型艦を「兄弟艦」ではなく「姉妹艦」と呼ぶのか、少し掘り下げてみます。
 


船はなぜ「女性」なのか?
 

世界的に船は古くから「女性」として擬人化されてきました。その理由はいくつかあります。
 

・言語の影響:ラテン語で「船」を意味する navis は女性名詞。英語やドイツ語でもこの感覚が残り、英語では船を she と呼ぶ習慣が定着しました。

・母性の象徴:船は人を包み込み、海を渡らせて守る存在であるため、「母のような存在」と重ねられました。

・船首像の伝統:帆船時代には女性像のフィギュアヘッドが多く飾られ、視覚的にも「船=女性」という意識を強めました。

・神話の背景:海そのものが女神と結びつけられることが多く、自然と「船も女性」という文化が広まりました。
 

こうして船は世界的に「女性」とされ、同型艦は「sister ships(姉妹艦)」と呼ばれるようになったのです。
 


金剛型戦艦 ― 四姉妹の物語
 

日本海軍の「金剛」「比叡」「榛名」「霧島」は、まさにこの「姉妹艦」の好例です。
同じ設計に基づきながらも、それぞれ改装や戦歴の違いから、個性豊かなキャラクター性を持つようになりました。

 

金剛:長女格。英国ヴィッカース社建造の最新技術をまとい、日本海軍に新時代を告げた。

比叡:格式高き御召艦の経歴を持ちつつ、ガダルカナルの激戦で力尽きた悲運の存在。

榛名:改装を経て最も安定感を誇り、終戦直前まで粘り強く生き延びた頼れる姉。

霧島:夜戦に果敢に挑み、米戦艦群との砲撃戦の末に沈んだ、勇ましい戦士。
 

同じ型式でありながら、それぞれに異なる“性格”を持つ点も、模型ファンにとって魅力的なポイントです。
 


模型で楽しむ「四姉妹」
 

ハセガワの1/700ウォーターラインシリーズなどでは、この四隻をそれぞれキット化しています。
同じ設計だからこそ、細部の違いが見えてくるのが面白いところ。艦橋構造や装備の差異を意識して組み上げると、まるで本当に姉妹の性格の違いを感じ取れるようです。

四隻を並べて飾れば、単なる模型を超えて「四姉妹の物語」が机上に広がります。
 


模型を組むときのポイント
 

金剛型四姉妹を模型で楽しむ際には、以下の点に注目するとさらに味わい深くなります。
 

・艦橋構造の違い:改装時期によって大きく形が変わる。金剛と榛名は比較的整った印象、比叡・霧島は改装ごとに個性が際立つ。

・装備差異:高角砲や対空機銃の配置が艦ごとに異なり、戦歴を反映している。

・塗装表現:ウェザリングを強めにすればソロモン夜戦の霧島、比較的きれいに仕上げれば御召艦比叡、といった“キャラづけ”も可能。
 

姉妹艦を並べて仕上げれば、机上に「艦隊」が誕生します。
 


キャラクター化との違いを楽しむ視点
 

「艦これ」や「アズレン」などで擬人化された四姉妹を知っていると、模型を作る楽しみはさらに広がります。
史実の資料や艦のディテールを意識しながら、「キャラクターとしての彼女たち」と「史実に基づく実艦」とのギャップを味わうのも現代ならではの楽しみ方です。

模型は“実物を縮小した記録”、キャラクターは“物語としての再解釈”。その両方を横断できるのが、金剛型四姉妹という存在の大きな魅力です。

 


金剛型四姉妹と艦船擬人化の系譜


現代に目を向ければ、「艦これ」や「アズールレーン」といったコンテンツによって、これらの艦船は美少女キャラクターとして再び命を与えられています。古来の「船は女性」という文化が、そのまま現代のサブカルチャーへと受け継がれているのは、実に興味深い現象です。
 

さらに、このテーマを深く知りたい方にぜひおすすめしたい書籍があります。

それが 『大日本帝国海軍の戦艦3D図鑑』(宮間めさの著・河出書房新社) です。最新の考証をもとにCGで艦を再現し、金剛型四姉妹の改装経緯や外観の違いが詳細に紹介されています。特に艦橋や装備の差異がビジュアルで理解できるため、模型製作の資料としても一級品です。まさに「見て楽しみ、作るときに役立つ」内容で、艦船模型ファン必携の一冊といえるでしょう。
 

模型を通じて艦船史に触れる楽しみは、歴史の追体験であると同時に、現代文化との接点を感じることでもあります。金剛型四姉妹はその象徴であり、模型ファンにとって永遠に語り継がれる「推し艦」なのです。
 


 

船が「姉妹」と呼ばれるのは、言語や文化の積み重ねが生んだ美しい慣習です。
その伝統を背景に「金剛型四姉妹」と呼ぶとき、ただの軍艦4隻ではなく、互いに寄り添い歴史を歩んだ存在として心に迫ってきます。
 

そして現代では、艦船擬人化という新しい文化を通じて、金剛型四姉妹はさらに多くの人に愛される存在となりました。

模型を手にするとき、史実とキャラクター、両方の側面を楽しみながら、あなたの手で四姉妹を甦らせてみてください。

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