まつり堂模型店

模型でたどる225列車

お問い合わせはこちら

模型でたどる225列車

模型でたどる225列車

2025/12/21

――1975年12月14日 室蘭本線225列車をめぐって――
 

1975年12月14日、北海道の室蘭本線を走った「225列車」は、日本の鉄道史において特別な意味を持つ列車でした。
それは、国鉄における蒸気機関車牽引の定期旅客列車が、事実上この日をもって終焉を迎えたことを象徴する存在だったからです。
 


室蘭本線と蒸気機関車


室蘭本線は、北海道の産業と生活を長年にわたって支えてきた重要な路線です。炭鉱や製鉄所、港湾都市を結び、貨物輸送と旅客輸送の両面で大きな役割を果たしてきました。

しかし1970年代に入ると、全国的な動力近代化の流れは北海道にも及び、ディーゼル機関車や気動車の普及によって、蒸気機関車は急速に第一線から姿を消していきました。


そのような中でも、室蘭本線には最後まで蒸気機関車が旅客列車を牽引する運用が残されていました。その象徴が、C57形蒸気機関車による225列車でした。
 


225列車という存在


225列車は、いわゆる「さよなら列車」ではありませんでした。特別な装飾が施されることもなく、編成もダイヤも、あくまで通常通りの定期列車でした。
 

しかし、その「通常運転」であったことこそが、この列車の重要な意味を物語っています。この日を境に、蒸気機関車が日常的に旅客輸送を担う時代は、静かに幕を下ろそうとしていたのです。


牽引を担当したのはC57形135号機でした。

C57形は、その優美な外観から「貴婦人」とも称され、もともとは急行・特急用の旅客機関車として設計された形式です。北海道に配置された後も、その美しい姿と安定した走行性能によって、多くの人々に親しまれてきました。
 


1975年12月14日の光景


冬の北海道は空気が澄み、蒸気機関車の白い煙は、いつも以上に力強く立ち上りました。

この日、沿線には多くの鉄道ファンが集まったと言われていますが、後年に見られるような大規模なイベント的熱狂とは異なるものでした。
 

地元の人々にとって、蒸気機関車は決して珍しい存在ではなく、日常の一部でした。駅で列車を待つ人や、踏切で足を止める人の多くは、「これが最後になる」という強い意識を持っていたわけではなかったかもしれません。


だからこそ、この日の225列車は特別なのです。

多くの人が最終列車の運行に集まりはしたものの、盛大なセレモニーもなく、記念列車として扱われることもなく、定員の3倍の人が乗車したと語り継がれてはいますが、日常の中で静かに役目を終えた蒸気機関車旅客列車だったからです。
 


蒸気機関車が担っていたもの


蒸気機関車は、単なる移動手段ではありませんでした。

石炭の匂い、ドラフト音、シリンダーの動き、客車に伝わる微かな振動など、蒸気機関車は五感に訴える存在でした。

蒸気機関車が旅客列車を牽引するということは、「移動」が単なる点と点を結ぶ行為ではなく、時間と体験を含んだ「旅」であることを意味していました。

ディーゼル化や電化は、速度や効率、快適性をもたらしましたが、その一方で、鉄道から音や匂い、手間といった要素を少しずつ失わせていったとも言えます。
 


終焉は鉄道が未来へ向かうための必然でした


蒸気機関車旅客列車の終焉は、決して後退や敗北ではありませんでした。

それは、日本の鉄道が次の段階へ進むために必要な変化だったのです。
 

C57形が旅客列車を牽引する姿が消えた後も、鉄道は進化を続け、安全性や快適性を大きく向上させてきました。
それでもなお、人々の記憶の中には、蒸気機関車の時代が確かな実感を伴って残り続けています。
 


いま、模型でたどる225列車


現在、C57 135号機は保存され、その姿を今も目にすることができます。
また、鉄道模型の世界では、室蘭本線の客車列車をいつでも再現することが可能です。
 

模型で225列車を走らせることは、単なる懐古趣味ではありません。
それは、鉄道が人々の生活の中に深く根ざしていた時代を、机の上にもう一度呼び戻す行為でもあります。
 

静かに客車を牽引し、白い蒸気を上げながら走るC57。
1975年12月14日、室蘭本線を走った225列車は、今もなお、多くの人の心の中を走り続けているのです。

このたび、TOMIX から C57 135号機と国鉄室蘭本線225列車セットが新発売となりました。静かに終えた蒸気機関車けん引旅客列車をあなたの机の上で静かに再現してみませんか?

 

----------------------------------------------------------------------
まつり堂模型店
住所 : 山口県下関市幸町1-9 永冨ビルⅡ101
電話番号 : 083-292-7306
FAX番号 : 083-292-7306


----------------------------------------------------------------------

当店でご利用いただける電子決済のご案内

下記よりお選びいただけます。