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砲塔を捨てた空母たち ――そして回転甲板の夢

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砲塔を捨てた空母たち ――そして回転甲板の夢

砲塔を捨てた空母たち ――そして回転甲板の夢

2026/02/23

みなさん、こんにちは、まつり堂模型店店長 おびおです。
今日は「航空母艦」のお話を書きます。

模型を作っていると、「なぜこの形になったのか」という問いに必ず行き着きます。艦船模型、とりわけ空母はその最たる例のひとつだと思います。アメリカ海軍の「USS Lexington (CV-2)」、そして日本海軍の「赤城と加賀」。いずれも初期状態では大型砲塔を装備し、敵艦と砲戦を行う能力を持っていました。しかし後年の改装でこれらは撤去され、純粋な航空機運用艦へと姿を変えます。なぜ彼女らは「砲塔を捨てた」のか、今回のおびおの疑問点はここでした。
 

空母は「戦艦の補助」だった


第一次大戦後、意外なことに航空機はまだ補助的兵器に過ぎませんでした。空母もまた「偵察・索敵・補助攻撃」を担う存在と考えられ、主力はあくまで戦艦による艦隊戦でした。そのため初期の空母には、自衛や限定的な砲戦を想定した重砲が搭載されました。レキシントン級はもともと巡洋戦艦として起工され、ワシントン海軍軍縮条約によって空母へ改装された経緯があります。おもしろいことに、赤城と加賀も同様に、戦艦・巡洋戦艦からの転用艦です。砲塔は「本来の設計思想」の名残でした。生粋の空母を世界で初めて建造したのは日本ですが、これついてはまた別の機会に。
 

航空機こそ主兵力へ


しかし1930年代に入ると状況は変わります(ちなみに、太平洋戦争の開戦は 1941年です)。航空機の航続距離、搭載量、雷撃能力が飛躍的に向上し、「敵を遠距離から無力化できる」ことが明確になりました。砲戦距離よりもはるかに外側から攻撃できる航空機は、艦隊戦の主役へと躍り出ます。戦闘機が戦艦を撃沈させることができる戦闘能力を持っていることを世界で初めて証明したのも日本でした。もちろん、真珠湾攻撃のことです。
 

ここで問題になるのが砲塔の重量と搭載スペースです。砲塔は重く、弾薬庫も含めて巨大な重量物です。それはすなわち、搭載可能な航空機数を圧迫します。空母の戦闘力は「艦の火力」ではなく「搭載機数」によって決まる時代に入りました。そこでレキシントンも赤城も加賀も、大規模改装で重砲を撤去し、飛行甲板を延長・一体化し、格納庫を拡張します。空母は“自ら撃つ艦”から“航空機を撃ち出す艦”へと進化したのです。
 

模型的に見れば、初期型と改装後の姿はまるで別物です。多段式飛行甲板を持つ赤城の初期形態は萌え萌えですが、実戦思想の変化がその造形を淘汰していったとも言えます。

その後、現在に至るまで、空母の最適解は空母の建造能力を持つ米国・にほんみなさん、こんにちは、まつり堂模型店店長 おびおです。

今日は「航空母艦」のお話を書きます。

 

模型を作っていると、「なぜこの形になったのか」という問いに必ず行き着きます。艦船模型、とりわけ空母はその最たる例のひとつだと思います。アメリカ海軍の「USS Lexington (CV-2)」、そして日本海軍の「赤城と加賀」。いずれも初期状態では大型砲塔を装備し、敵艦と砲戦を行う能力を持っていました。しかし後年の改装でこれらは撤去され、純粋な航空機運用艦へと姿を変えます。なぜ彼女らは「砲塔を捨てた」のか、今回のおびおの疑問点はここでした。

 

 

空母は「戦艦の補助」だった

 

第一次大戦後、意外なことに航空機はまだ補助的兵器に過ぎませんでした。空母もまた「偵察・索敵・補助攻撃」を担う存在と考えられ、主力はあくまで戦艦による艦隊戦でした。そのため初期の空母には、自衛や限定的な砲戦を想定した重砲が搭載されました。レキシントン級はもともと巡洋戦艦として起工され、ワシントン海軍軍縮条約によって空母へ改装された経緯があります。おもしろいことに、赤城と加賀も同様に、戦艦・巡洋戦艦からの転用艦です。砲塔は「本来の設計思想」の名残でした。生粋の空母を世界で初めて建造したのは日本ですが、これついてはまた別の機会に。

 

 

航空機こそ主兵力へ

 

しかし1930年代に入ると状況は変わります(ちなみに、太平洋戦争の開戦は 1941年です)。航空機の航続距離、搭載量、雷撃能力が飛躍的に向上し、「敵を遠距離から無力化できる」ことが明確になりました。砲戦距離よりもはるかに外側から攻撃できる航空機は、艦隊戦の主役へと躍り出ます。戦闘機が戦艦を撃沈させることができる戦闘能力を持っていることを世界で初めて証明したのも日本でした。もちろん、真珠湾攻撃のことです。

 

 

ここで問題になるのが砲塔の重量と搭載スペースです。砲塔は重く、弾薬庫も含めて巨大な重量物です。それはすなわち、搭載可能な航空機数を圧迫します。空母の戦闘力は「艦の火力」ではなく「搭載機数」によって決まる時代に入りました。そこでレキシントンも赤城も加賀も、大規模改装で重砲を撤去し、飛行甲板を延長・一体化し、格納庫を拡張します。空母は“自ら撃つ艦”から“航空機を撃ち出す艦”へと進化したのです。

 

 

模型的に見れば、初期型と改装後の姿はまるで別物です。多段式飛行甲板を持つ赤城の初期形態は萌え萌えですが、実戦思想の変化がその造形を淘汰していったとも言えます。

 

その後、現在に至るまで、空母の最適解は空母の建造能力を持つ日米英仏が模索し続けますが、世界最新鋭の航空母艦ともいえる日本国海上自衛隊の「DDH-184 かが」に至るまで、重武装を持つ空母は一隻も建造させれることはありませんでした。
 


デスラー戦闘空母の「回転甲板」という発想


この現実史を踏まえると、アニメ『宇宙戦艦ヤマト』に登場するデスラー戦闘空母の構造は非常に興味深い存在です。戦闘態勢では砲塔を前面に出し、空母状態では甲板を展開する――しかも“回転”させて切り替えるのですから。
 

これは、歴史が否定した「砲戦と航空運用の両立」を、SF的発想で解決しようとしたデザインと言えるでしょう。無重力の宇宙空間では、海洋で問題となった重量問題や構造強度の制約を超越することができます。また、攻撃方法が砲弾から・・・ビーム(???)に変わったことによって、弾倉も不要となり、多くの艦載機の積載と回転構造が可能となりました。

これらは未来の宇宙艦だからこそ成立するギミックです。言い換えれば、これは現実世界での空母進化の“if”。もし技術的制約がなければ、艦隊決戦能力と航空戦力を一隻に統合したかった、という願望の具現化ではないかと思っています。
 

回転甲板は単なる派手な演出ではなく、「役割の二重性」を視覚化する装置なのです。戦闘艦か、空母か。その切り替えを物理的に示すための機構。モデラー的には、可動ギミックを内蔵したくなる衝動を強く刺激します。

「そもそも、宇宙空母に航空甲板は必要なのか?」という議論は却下したいと思います。だって、甲板があった方が萌えるでしょ?
 


ガミラスの方針転換


さらに物語が進むと、ガミラス帝国は戦闘空母の建造を中断し、三段空母のような航空機運用に特化した艦へ方針転換します。これはまさに、レキシントンや赤城が辿った歴史と重なります。
 

実戦経験がデスラーの思想を変えるのです。艦そのものの砲火よりも、制空権・制宙権の確保が勝敗を分ける。ならば、戦闘機運用に集中して取り組める艦が必要になる。戦闘機運用に特化することにより、さらに艦の構造は最適化ができ、乗組員の練度も上がる。戦闘甲板のような巨大構造物の回転機構を廃することにより故障のリスクもなくなる。ガミラスもまた、「両立」から「特化」へと進化したと解釈できます。
 


造形は思想の結晶


戦艦から空母へ、砲塔から飛行甲板へ。そこには単なる技術進歩ではなく、「何を主兵力とするか」という思想の変化があります。そしてSF作品は、その思想を自由に再構築します。
 

模型を作るとき、初期型か改装後かを選ぶだけでなく、「その時代の海軍は何を信じていたのか」を考えてみると、作品の奥行きが一段深くなります。赤城の三段甲板を再現するのか、近代化改装後のスマートな姿を選ぶのか。デスラー戦闘空母の回転機構をどう表現するのか。
 

艦の形は、戦い方の歴史そのもの。
そしてモデラーは、その歴史の“分岐点”を手の中で再現できる存在なのです。

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