まつり堂模型店

利幅泥棒――Nゲージを狙う転売屋

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利幅泥棒――Nゲージを狙う転売屋

利幅泥棒――Nゲージを狙う転売屋

2026/07/18

ブルートレイン「あけぼの」を狙う転売屋


 まつり堂模型店では、鉄道模型をできるだけお求めやすい価格で販売しています。

 鉄道模型、とりわけNゲージの魅力は、編成を完成させて走らせることだけではありません。好きな時代や地域、思い出のある列車を少しずつ集め、車両コレクションが増えていくことも大きな醍醐味です。

 だからこそ当店は、一つの車両やセットから大きな利益を得るよりも、一個当たりの価格を抑え、お客様に一両でも多くの車両をコレクションしていただきたいと考えています。ところが、その思いが転売屋に利用されることがあります。

「あけぼの」を完成させるための車両がない

 直近の例が、2026年6月に発売されたTOMIX「JR 24系特急寝台客車(あけぼの)セット」です。

「あけぼの」は、かつて上野と青森を結んだ寝台特急です。晩年には個室寝台車のほか、「ゴロンとシート」や「レディースゴロンとシート」なども連結され、車種の変化に富んだ編成で運転されていました。Nゲージとしても、編成を組んだ時の不揃いな窓配置がとても魅力的です。 

 TOMIXの基本セットは7両入り、税込23,760円。しかし、当時のフル編成を再現するには、基本セットだけでは車両が足りません。別売りの増結用単品を買い足す必要があります。その中でも極端な品不足となったのが、白帯の「オハネ24」と「オハネフ24」です。

 公式価格は、オハネ24が税込2,640円、オハネフ24が税込3,080円。ところが発売直後、Amazonではオハネ24が9,000円を超える価格で出品されているのを見かけました。メーカー希望小売価格の3倍を超える値段です。

 基本セットを買った鉄道模型ファンにとって、増結車両は単なる「追加商品」ではありません。思い描いた「あけぼの」の編成を完成させるために必要な一両です。基本セットに対して増結用単品の流通量が少なければ、当然、そこに需要が集中します。 転売屋が狙うのは、まさにその弱点です。

「オハネ? なにそれ?」

 当店にも、在庫を尋ねる電話がかかってきました。 「オハネはありますか」 「オハネフも残っていますか」 話をしてみると、車両についてほとんど知らない様子です。「オハネ? 何でしたっけ?」という程度の人が、品薄になったという情報だけを頼りに在庫を探している。欲しいのは寝台客車ではなく、定価と転売価格の間に生まれた差額なのでしょう。

 鉄道模型への愛情も、「あけぼの」への思い入れもない。青い客車が夜の上越線や羽越本線を走った歴史にも興味はない。ただ、安く買って高く売れる物として探しているのです。

 店頭でその一両を手に取るはずだった鉄道模型ファンは買えなくなり、どうしても編成を完成させたい人は、不当に高い価格を支払わされます。 腹を立てずにはいられません。

転売屋は「利幅泥棒」である

当店が価格を下げるのは、転売屋に利益を与えるためではありません。 小売店が利益を削って生み出した値引きは、本来、お客様が次の一両を買うための余裕になるはずです。それを横から吸い取り、自分の利益に付け替える。私は、こうした行為を「利幅泥棒」と呼びたいと思います。転売屋は泥棒なんです。

 転売屋は、市場価格を決める立派な商売人などではありません。メーカーが製品を企画し、工場が生産し、問屋が運び、小売店が在庫を抱えて販売する。その誰もが時間と費用と責任を負っています。

 転売屋は、その流れの最後に現れ、品薄商品だけを買い占めます。市場を育てるのではなく、すでに育った市場から利益だけを吸い取る。たとえるなら、鉄道模型業界の血を吸う「蚊」のような存在です。

車両は、走らせる人の手へ

 Nゲージの一両は、単なる小さな箱ではありません。 ある人にとっては、子どもの頃に駅で見送った夜行列車かもしれません。ある人にとっては、父親と乗った思い出の列車かもしれない。そして、何年も待ち続けて、ようやく模型化された大切な車両かもしれません。

 まつり堂模型店は、鉄道模型を愛する人に、できるだけ多くの車両を集めてほしい。そのために価格を下げています。 安く仕入れるために店に電話をかけまくり、品薄になった途端に高値で売る人のためではありません。

 車両は、転売屋の段ボール箱の中ではなく、鉄道模型ファンのレイアウトの上を走ってほしい。 それが、鉄道模型を扱う店長としての、偽らざる思いです。

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