毎日500円安くなるガンプラをやって思ったこと
2026/06/04
非常に奥が深い価格決定のメカニズム
先日、まつり堂模型店では「毎日500円安くなるガンプラ」という企画を行いました。
商品は、赤バンダイ時代の『MG RX-93-ν2 Hi-νガンダム』です。
5月20日に16,000円という、あえて少し高めの価格からスタートし、営業日ごとに500円ずつ値下げを続けました。そして6月3日、10,000円でお買い求めいただき、企画は終了となりました。
企画期間中は、店頭だけでなくネットやXでも多くの方に注目していただき、
「今日はまだ残っている」
「そろそろ誰か買うのでは」
「自分ならいくらで買う」
といった話題で盛り上がっていただけました。
参加してくださった皆様、本当にありがとうございました。
この企画を終えて感じたのは、これは単なる値下げ販売ではなかったということです。
実はこの企画、商品の価格を店が決めるのではなく、お客様に決めていただく企画だったのです。
誰かが買った瞬間、その価格が「この商品の価値」として確定します。
早く買えば高いかもしれない。しかし待てば誰かに先を越されるかもしれない。
Xではこれを「チキンレース」と呼ぶ方もおられましたが、まさにその通りだったと思います。
そして最終的に10,000円で決着しました。
ところが、この結果に対する反応が実に面白かったのです。
Xでは
「10,000円なら高い」
「近所の店ではそれより数割安く売っている」
「古いキットにそんな価値はない」
という意見もありましたし、
一方では、
「いや、それは安い」
「まつり堂が近所にあったら、もっと早く自分が買ってたと思う」
「妥当な価格で終わったと思う」
という意見もありました。
同じ価格なのに評価が真っ二つに分かれたのです。
これは現在のガンプラ市場をよく表しているように思います。
ガンプラはここ数年、品薄や再販待ちが続きました。そのため、「定価より高くても今すぐ欲しい」という人もいれば、「早朝ダッシュをすれば再販を定価で買える」と考える人もいます。市場でも、ガンプラを取り巻く人々の行動は両極端なのです。このことは、今回の企画が、巨大なガンプラ市場の縮図として十分評価しうるものだったことを示していると思います。
さらに、今回の商品が「赤バンダイ」時代の商品だったというのも、意外とポイントです。
赤バンダイ時代のキットという希少性を重視する人もいれば、「組むためのプラモデルなのだから古い箱に価値は感じない」という人もいます。
つまり、人によって価値の基準が大きく違うのです。
だからこそ、「高い」と「安い」の両方の意見が生まれたのでしょう。
また、企画中には「これゼロ円になるの?」「マイナスになったらどうなるの?」というコメントもいただきました。 「そんなバカなことあるわけないだろ」と一笑に付すのは簡単ですが、ここも消費者の行動の観点からは興味深いところです。
もちろん現実的には、その前に誰かが購入する可能性が非常に高いのですが・・・
仮に、この商品が欲しい人たちが「500円になるまで待とう、絶対に誰も買うなよ」
と「談合」したとしても、裏切って抜け駆けする人は出ます。絶対に。
人は極端な結末を想像するのが好きな生き物だと思います。
テレビのクイズ番組でも、オークションでも、最後まで見たくなるのは「どこまで行くのだろう」という好奇心があるからです。
理屈ではあり得ないと思っていても、万が一があるかもしれない。
その「もしかしたら」が人を惹きつけます。
実際には商品よりも、その先にある物語を多くの方は見ていたのかもしれません。
私、店長おびおは今回、この企画を通じて価格というものの不思議さを改めて感じました。
商品の価値は店が決めるものでも、メーカーが決めるものでもありません。
最終的には「その値段なら欲しい」と思った人が現れた瞬間に決まります。
株価も、不動産価格も、美術品の価格も、本質的には同じです。
そしてその価格は、商品の性能だけではなく、希少性やタイミング、感情、期待、そして他人の行動予測まで含めて決まります。
今回の「毎日500円安くなるガンプラ」は、一見すると単純な値下げ企画です。
しかし実際には、多くの人が市場参加者となり、お互いの行動を予想しながら価格を決めていく、小さな市場実験だったようにも思います。
だからこそ、これほど多くの方が関心を持ち、見守ってくださったのでしょう。
私自身、とても興味深い体験になりました。
また面白い企画を思いついたら挑戦してみたいと思います。
その時はぜひ、皆様もこの不思議な「価格決定ゲーム」に参加してみてくださいね。ご参加お待ちしています。